会社案内

　
　住まいを選ぶ時や住まいという財産を考える時、私達現代人は良くも悪くも、目前の無難を選びがちです。

　元来住まいは、私達よりも長生きなのですから、自己の人生の間だけに囚われない「心」の継承が「もの」の継承に繋がる住まい選びを・・・と思うのです。

　人がものごとを見定めるために持ち合わせる感覚や知識の基となっている「秤」は、その人の体験や経験によって構築されますので、近しく感じる「秤」であっても、十人十色と言って良い程の違いがあるものです。

　現物の確認が出来ないが故に、机上計画が要となる住まいづくりの過程では、ビジュアルや数値的な情報を共有できたとしても、この「秤」の共有がないと、説明不足や理解不足が生じてしまうばかりか、完成した家が想像していたものと異なってしまうことがあるのです。

　私の暖かいは、貴方の寒いかもしれませんし、あの人の大きいは、この人の小さいかも知れないのです。
　
　弊社での住まい選びでは、モデルハウスや写真、絵図面、数値といった表面的な情報だけでお決め頂くのではなく、「秤」の共有によって心から決せられる住まい選びに徹しています。

　「秤」の共有には、言葉を交わし合うことが重要です。説明に用いる言葉や表現方法を変えたり、想像力を掻き立てる現実的な実例を用いるなどして、お客様からもたくさんのご意見を伺っています。

　「秤」の共有に努めるために、コミュニケーションの時間を惜しみません。
　
　「秤」の共有には、相応な時間を要す場合もあるでしょう。けれど、「秤」の共有による理解と納得は、お客様と私達との住まいづくりの過程が、曲がりのない記憶となって、生涯に残したい愛着心が芽生える住まいになることと信じています。


しかし、
  玉石混淆の情報社会となった現代では、私達が住まいを求める際、  どんなことに目を向け、どんな「秤」を持って、どんな選択を行うべきか、  一層と考えさせられる時代となりました。

  多様化する思考と規制の追いかけっこを背景に、長年繰り広げられて来たあらゆる出現と排除の結果は、一見では私達に、安堵や豊かさを与えてくれるように映っているので、数や量などの数値で比較することが鉄則であるかのように視えていますが、その選択肢となる分母が増えたことや、真っ先に得られる情報がビジュアルや数値的な情報に偏っていながらも、聞き慣れない情報が多いため、その選択はとても悩ましいことになっていると感じます。

　時間的制約に追い詰められ、考えることよりも決めることに執着させる住まい選びは、モノの形状や性能といった表面的な情報への依存を伴い、住まいが生涯の財産であるが故に大事にするべき期待感や楽しみといった心からの選択は、二の次にされてしまっていると思うのです。
　現代の家選びでは、その多彩となった仕様の選択肢の広がりだけではなく、性能などの奥深さも増していますので、選ぶことにも考える事にも相応な時間を要します。